お葬式と告別式はその本来の意味においては、異なる儀式です。お葬式は、正確には「葬儀式」といい、その名のとおり故人を葬る儀式であり、故人が家族・親族・縁者などの近しい人と別れる宗教的な儀式です。仏式では僧侶がとりしきります。一方、告別式は、この世に生きている人、式に参列するすべての人が故人に別れを告げる社会的な式典です。現在では、どちらの式も同じ日の同じ会場で行なわれるケースがほとんどですが、式の順序は葬式から始まる流れが一般的です。
最近の葬儀の形態というのは、明治以後に確立されたもので、それほど古い歴史があるものではありません。それまでは、人が亡くなった場合、何か儀礼を行うこともあまりなく、あったとしてもそれは高貴な人の間でのみ執り行うものでしかありませんでした。また、その頃は遺体も土葬であるのが通例で、火葬といのは多くの燃料を必要としたため一般の人は行うのが難しかったと言われています。現在日本は90%以上の人が亡くなると荼毘に付されており、それが当たり前のこととしてとらえられています。
家族が亡くなってお葬式が終わると遺体は荼毘に付されます。そして遺骨となり自宅に戻りますが、遺族はまず家に入る前に塩と水で身を清めます。そして仏壇の前、または部屋の北か西に設置した白布をかけた後飾りの祭壇に遺骨と位牌を安置し、遺影、お花、線香などを飾ります。後飾りの祭壇は四十九日の忌明けか埋葬の日まで毎日灯明をともして故人の冥福を祈ります。葬儀に参列しなかった人が後からお悔やみに訪れた場合は、この祭壇にお参りをしてもらいます。